看護物語

悩みを共感しチームで取り組むことの大切さ

2012.03.01

「悩みを共感しチームで取り組むことの大切さ」

Aさんは30代男性。妻と2人の子供と暮らしていました。脳炎疑いにて、4階病棟に入院されました。「歩きたい、話せない、食べられない」経管チューブを鼻に入れられても、抜くこともなくAさんの心は絶望のどん底にいる状態でした。私たちは30代と若く、症状の重いAさんに対し、腫れ物に触るようにしか接することが出来ませんでした。

そこで、男性同士なら心の内を話してくれるかもしれないと考え、男性看護師とアイスを食べながら話す機会を作りました。「失業、病気の不安、離婚、何か食べたい」と悩みは尽きませんでした。

それと同時にお茶のおまけについていた三つ葉とバジルを育てることをAさんに提案しました。Aさんはおぼつかない手で毎日水をあげました。芽が出た時には、スタッフ皆で喜び合いました。Aさんの氷のような心に私たちの声かけをふりそそぐことで信頼関係が生まれたのです。リハビリ病棟に転棟してからも毎日顔を見せに来てくれました。

「歩ける、話せる、食べられる」

ある日、歩いて4階に来てくれた時には私たちも驚くばかりでした。動けるようになったAさんを見て、逆に私たちの心は励まされました。この仕事をしている喜びを感じることが出来たのです。治療を頑張ったAさんに健闘と感謝の気持ちを込めて、退院の日に「頑張ったで賞」の賞状を渡しました。

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Aさんからは「看護師さんの声かけがなければ、ここまで頑張れなかった。感謝しています。」という言葉をいただき、本当にあの時声をみんなでかけて良かったと思いました。Aさんへの働きかけが身を結び、私たちの力になりました。大変なことも多いですが今回の感じた気持ちを大事にして頑張っていきたいです。Aさん、ご家族に感謝いたします。

image 4階病棟