看護物語

もっとAさんをわかりたい!

2011.04.01

汐田総合病院 5階病棟

もっとAさんをわかりたい!

Aさんは60歳。一家の大黒柱として仕事をし家族を養い、お酒をのむのが楽しみな毎日。そんな日々が一変、突然トイレで倒れたのです。脳出血と診断され、血腫除去術1ヶ月半後に当院回復期リハ病棟へ失語・右片麻痺リハビリ目的で入院となりました。

入院当初から意思の疎通が難しく、自分の思いが伝わらないことからか、日常のケア、排泄援助・更衣等にも怒鳴りだすことがあり、深いため息、いらいら、怒鳴る等がみられました。
また、ナースコールを押さずにひとりで車イスに移乗しようとして転倒し、車イスシートベルト・センサーマット・ハサミセンサー等の使用を余儀なくされていました。それが、更なるストレスとなっている様子でした。

病棟で使っているリハビリでのコミュニケーションボードを使ってみましたが、上手くいきません。興味を示してくれないのです。
正直なところ、患者の怒りの感情に向き合うことにとまどいを感じました。しかし・・・

・・・考えました。突然の発症。今まで当然のようにできていたことが突然出来なくなった自分。自分の思いが相手に伝わらない不安・苛立ち・絶望・・どんなにつらいことでしょう。
もっともっとAさんのことがわかりたい。

素直な新人看護師の気持ちが伝わる!

カンファレンスを繰り返し行ない、スタッフ全体で情報の共有・ケアの統一を図りました。まず、頻回な訪室と見守りを強化し、ストレスの原因のひとつであるシートベルトをはずしましたimage

次に、Aさんを主人公にしたAさんの似顔絵入りのコミュニケーションボードをつくりました。
これを持って「Aさんにそっくりでしょう?」というと、照れくさそうな顔をして「おまえが描いたのか」というようなジェスチャーをしながら笑顔が!!そして、じっくりときく姿勢をみんなで継続しました。

imageそれからのボードでの会話で、リハビリを頑張りたいというAさんの思いが伝わってきました。
やさしい気持ちも伝わってきました。そしてだんだんと、スタッフとの意思疎通がはかれるようになり、Aさんの穏やかな表情が増えていきました。
Aさんとの出会いから、まず心のこもった人間的な関心を注ぐこと、患者を理解したいという気持ちを伝えることの大切さを知りました。そして、怒りという感情も意思表示のひとつであり、これをうけとめることも大切な看護であることを学びました。