看護物語

患者の思いに寄り添う

2011.03.01

汐田総合病院 4階病棟

人間誰しも、突然の病気や障害を受容して、それらに適応することは容易ではありません。
脳卒中を発症し、入院したAさんも例外ではありませんでした。
仕事に一生懸命だった夫を支え、こどもを立派に育て上げ、4年前に夫を看取ってからも自分の事は全部自分でやってきた80歳のAさんです。

今回の発症で左上下肢に麻痺が出現し、他者の援助が必要になった自分を簡単に受容できるものではありません。入院前と違う身体の変化に「こんな姿になって、子供も良くしてくれるが、申し訳無い。早くお迎えが来てほしい」。悲観的なことばが次々でてきます。
家族からも「すっかり自信をなくしてしまっています。なんとか自信を取り戻せないか」

どうしたらAさんが麻痺と向き合いながら、日常生活を前向きに送ることができるのか
すこしでもAさんのQOLが向上するように援助していくことを考えました。そして、Aさん、家族の話をしっかりゆっくりききました。image
そんなある日、Aさんから、トイレでの排泄希望がありました。
トイレにいくことで、どうにか自信を取り戻せないか。多職種で検討し、Aさんとも話し合い、目標を「車イスでトイレでの排泄ができる」としました。

患者の心理的状況に合わせ傾聴と共感を大切にし、できることを伝えていくために、
「~ができない」でなく「~もできる」という伝え方で、できたことをほめ、共に喜んでいきました。そして、車イスでのトイレ移動、排泄が実現しました。 

Aさんは「皆さんのおかげ、ありがとう」と満面の笑みをみせてくれました。娘さんは泣いています。

Aさんから、その喜びを共有できる幸せをいただきました。今後も、患者がどのような心理段階にあり、どのような援助を必要をしているのかを、きちんとみきわめて看護実践ができるように、日々励んでいきたいです。