看護物語

社会復帰・・・退院がゴールではないんだ

2011.02.01

汐田総合病院 4階病棟

Aさんは40歳。鉄工業という肉体を酷使する仕事に就いている、妻子を養う一家の大黒柱です。趣味のハンドボール中に右脛骨高原骨折・右内側靭帯損傷を受傷。手術目的で当院入院となりました。

若く体力も十分あるAさんの経過は順調でした。

しかし、疼痛コントロールが図れてくると、今度は、退院後の社会復帰に対する不安な言動がきかれる様になってきました。
「体力を使う仕事だから仕事を変えたほうがいいかな、、、」
突然の入院により仕事が中断されてしまったAさん。
入院により家庭・社会的役割が出来なくなってしまったAさん。clip_image002
・・・3人の子供と妻、一家を支えるAさんにとって社会復帰は大きな問題でした。
病気の治癒だけでなく、退院後の社会復帰についても考えることは大切な看護です。

突然の入院により仕事が中断されることの不安や焦りを回復の段階ごとに説明して退院後のイメージをもてるような援助を行いました。
カンファレンスを行ない、多職種の協力も得ました。
パンフレットを作成して、回復の過程や退院後の仕事復帰がイメージできるようにしました。

少しイメージがつき、不安が解消されてくると、
「スポーツはやらない方がいいよね」
Aさんにとっての社会復帰には、夫・父の役割と、仕事はもちろんですが、もうひとつ、ハンドボールがあったのです。高校の時からずっと、チームに入団して続けてきたハンドボールです。それを続けられるかどうかは、本人にとってはとても重要なことでした。カンファレンスをし、医師から病状説明し、パンフレットに追加しました。壁にパンフレットを貼って、荷重や安静度の自己管理に励む様子がみられました。

趣味であり生きがいのひとつでもあったスポーツの復帰も計画にいれたことが、本人の意欲をより引き出せて、より早い回復につながりました。
退院後の社会復帰といっても、患者ひとりひとりにそれぞれの社会復帰があることをあらためて教えていただきました。