看護物語

「おうちに帰りたい」を叶えたい

2011.01.05

汐田総合病院 2階病棟

「Cさん、おうちに帰ろう」

007「パ、ラ、カ、パ、ラ、カ」 おやつの時間が近づいてくると2階病棟から聞こえてくる元気な声。「次は首を回してー!!」おやつの前の嚥下体操を行っている最中だ。2階病棟では日常の風景。明るい光がさんさんと降り注ぐ広いデイルームで、患者様たちはスタッフの声に導かれ体操を行う。

2階病棟は医療型の療養病棟。Cさんは現在91歳。会社員として定年退職までまじめに働かれ、その後妻の介護に専念され平成12年に1人で看取られました。妻が亡くなって以降身寄りのない状況でした。糖尿病・脳梗塞・高血圧・前立腺ガン等たくさんの病気を患っていましたが、生活保護支援・介護保険サービスを利用して単身での生活を楽しまれていました。

平成20年6月頃より食欲不振・歩行困難となり当院に入院し、色々な検査や治療をしましたが回復の兆しがなくほぼ寝たきりの生活が続いています。現在の病状から今後在宅生活の復帰は困難であると判断されました。

 どのようにCさんを支えて行くべきか、主治医・MSW・生活保護のケースワーカー・病棟スタッフ参加のもとカンファレンスを行い、今後の治療方針の確認と家を引き払う事が決まりました。

家を引き払う前にCさんを「もう一度お家へ帰らせてあげたい」、「大切なものを持ってこられるようにしてあげたい」という思いから、体調を見極め一緒に外出する決断をしました。

リクライニングの車椅子に乗り、病棟看護師・介護福祉士・MSWと共に自宅へ向かいました。Cさんは久しぶりの我が家に楽しそうな表情を浮かべたり、悲しそうな表情と共に涙を流される場面もありました。奥様の位牌と写真を大切そうに抱え病院に戻りました。

同行したスタッフからは「日頃は病院の中から患者様を看ていますが、自宅を訪問したことにより患者様の生活を肌で感じることができとても良い経験になりました。

Cさんの複雑な表情をみて、最後までCさんらしく生きていけるようなケアをしていきたいと強く思いました。夜勤明けで体力的にはきつかったけれど、それ以上のものを得ることができました!」とスタッフからも笑顔。

今後もこのような取り組みを続けて、患者様に少しでも満足して頂けるように看護・介護の質を上げていきたい。